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写真集「EXPRESSWAY」
¥7,700
我々は、視界の全てを意識下にはおいてはいない。象徴的な形やサインなど、気になる事象を断片的に認識し、それが人それぞれの世界を構成している。 およそ時速100km/h。現在、人間が意思を持って移動する中で最高の速度域である高速道路の走行では、車窓から見る景色は知覚能力を大きく超えて流れ、意識的に捉えることの出来る世界はより範囲を狭める。その中でも我々は事故を起こすことなく運転し、道を歩くのとは大きく違う視点で都市を眺めつつ、自律的な移動を行っている。走行速度の変化や注視する事象との距離によって、運転者を取り巻く意識と無意識の割合が激しく変化を繰り返し、そこに体で感じる重力加速度や、走っている場所に対する記憶やイメージが織り交ざり、独特の動的感覚を覚えるのだ。私はかねてよりこの感覚が気になっていた。 写真は、無意識にでもシャッターを押せば眼前の光景が画像になり、その際にシャッター速度が早ければ高速な被写体も静止する。しかし無意識といえども、レンズを向ける対象は少なからず撮影者の趣向が影響している。この現象を使って、意識の外にある世界を明らかにするとともに、高速道路走行時に漠然と感じていた、独特の動的感覚を二次元の静止画で表現する試みを行った。 縦265mm×横220mm カラー112ページ ソフトカバー コデックス製本 ※表紙の素材がとてもデリケートな為、製本に細心の注意を払いシュリンクを施してありますが、多少の傷がある場合があります。こちらは都市の構造物をイメージした「エイジングされていく本」というコンセプトで制作しており、ご了承いただいた上でご購入下さい。 写真展EXPRESSWAYより 「飛び去りながら凝結する光景」 首都高速道路で見える都市の光景は多くの人にとって既知で、ただ目の前を刹那的に通過する断片にすぎない。われわれは思いのほか同じようなものにしか反応しないものだ。個人的な視覚的興味や、かたち、色への嗜好、シンボルとして際立つ建造物などをなんとなく見ている。いっぽう高速で走る車の中から凝視するまなざしを四方へ向け続けるのは、肉体と精神に極端に負荷がかかる。ただカメラという機械は、写真を生み出す過程でそれを可能にしてくれる。 井田宗秀は、高速を走りながら意識と無意識のあいだで漠然と自覚していた感覚を、実際に首都高を走行しながら写真にすることで視覚化した。その結実が写真集『EXPRESSWAY』で、高度な印刷プロセスを経て精緻な画面からあたかも飛び去りながら凝結したような光景が立ち上がってくる。展示としての「EXPRESSWAY」では、意識と無意識のあいだで往来する井田の感覚を平面に還元された写真から3次元へ浮上させる試みをする。井田が生み出す強度をたたえた鋭利な都市の断片が展示空間で動き出すさまをぜひご覧いただきたい。 (池谷修一:写真編集者/キュレーター)
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写真集「EXPRESSWAY」特装版
¥77,000
写真集「EXPRESSWAY」にオリジナルプリントを付け、特製にアクリルケースに入れた限定版です。 写真集はサイン版、オリジナルプリントにはサイン・鑑定書が付きます。 アクリルケースごと壁にかけて飾ることが可能です。 プリントはブックマットにしてあるので、取り出してお好みの額装にする事も可能です。 限定20部。 ※選択可能なオリジナルプリントは、商品画像よりご確認いただけます。画像に表記のアルファベットを備考欄に明記してください。 ※ケースが受注生産となる為、ご注文から発送まで1か月ほどお待ち頂きます。ご了承ください。
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